公判2日目 2024/2/20(火)10:00~ 青森地方裁判所 第1法廷

傍聴者 約20名(内記者席4名)

第一回公判に引き続き殺人未遂事件に関する検察官による証拠調べ

第2回公判では、主に2020年9月23日に、被告と被害者が同乗した軽トラックが八戸の岸壁から海中転落した状況と当日の海中転落にいたるまでの経緯について、被害者の勤務する会社の同僚、ホイールローダーの購入契約した会社の社員、被害者の長男、被告の仕事を手伝い海中転落を目撃していた被告の友人などの証言などがあり、当時の状況が明らかになりました。

 海中転落に至るまでに、ホイールローダーの取引が大きく関係しています。

 被害者が勤務していた重機販売会社は2020年2月頃に廃業を決めます。それに伴い手持ちの重機を全て手放す必要がありました。そして一台のホイールローダーについて、K土木会社へ売却する契約が結ばれます。

 このころ、被告はこの販売先の決まったホイールローダーの車体番号が削れて確認できなくなっていることを見つけ、修理を請け負い、修理のためにこの重機を持ち出します。被告の会社は重機や鉄くずなどの買取と販売をしていたようで、被害者の勤務する会社とも何度か取引をしていたようです。また、被告と被害者の息子は同級生という繋がりもありました。その後、被告は車体番号修理のために持ち出した重機を千葉県経由でエジプトへ無断で販売してしまったようです。

K土木会社では購入契約した重機が手元に届かないために、被害者に対して重機の引き渡しを何度も要請、そのため被害者は被告に対して同様に重機の引き渡しを要求しますが、重機を運んでいたトラックの交通事故や、K土木会社からの急な引き取り中止の連絡(偽電話であったもよう)などを理由に重機は引き渡されませんでした。

 その後、9月23日の八戸漁港での軽トラック海中転落事件、12月21日の被害者勤務先火災、そして12月23日の除雪機による殺人へとつながっていきます。

海中転落事故のあった9月23日、被告は重機(ホイールローダー)を確認、運搬する?ためと称して被害者を呼び出し、被告と被害者は被告が運転する軽トラックで、被告の友人と被告の妹は友人が運転するプリウスで七戸から取引相手の待つとされる八戸市江陽の漁港へ向かいます。漁港へ着いたところ取引相手はまだ来てなかったため、時間つぶしのためコンビニ、そして近くの館鼻岸壁へ行き、再び江陽の岸壁に戻ってきます。この間に軽自動車を運転していた被告は、軽トラックのブレーキの効きが悪いと訴え、軽トラックを停めて後輪付近を確認したりしたそうです。

八戸市江陽の漁港に戻り、プリウスは岸壁そばに駐車し、被告は軽トラックのブレーキの効きを確認するために漁港内を少し走った後漁港外へ出ていき数分後にプリウスの停車している漁港岸壁に戻り、プリウスの脇を通り抜けて海中へ転落しました。転落して最初に被告が浮かび上がり、暫くして被害者も浮かび上がりました。事故を目撃した友人はすぐに119番通報して救助を要請しました。119番通報を受けた時間は14時7分でした。浮上した二人は、岸壁まで登り、その後救急車病院に運ばれました。二人とも命に別状はありませんでした。被告は診察後帰宅、被害者は水を飲んでいたらしく暫く入院することになり、見舞いに来ていた被害者長男(被告と同級生)と被告は同じ車で七戸まで帰宅したのですが、八戸の漁港に被害者と一緒に行った目的について、被害者がタコを購入するために漁港に行ったと、被告は話していたそうです。

ちなみに被告の携帯電話と財布は、運転していた軽トラックではなくプリウスに積んでおり、無事でした。また、重機受け渡しのために待ち合わせていた人がいたのかどうか明らかになっていません。

その他、ブレーキが効かなくなる理由としてベーパーロック現象(ブレーキを継続して使用することにより加熱し、オイルに気泡が生じる結果ブレーキが効かなくなる現象)について検討されましたが、市街地の通常運転でベーパーロック現象が生じる可能性は非常に低いという結論にいたりました。