第4回公判 2024/2/22(木)10:00~ 青森地方裁判所 第1法廷

 傍聴人数19名(うち記者席5名)

今回から除雪機殺人事件に関する証拠説明が始まった。

検察側の証拠説明

被告の父、妹、の供述書などから事件の起きた12月23日の状況があきらかにされた。

 被告は、中古重機の買取や販売を行う北青大橋貿易合同会社を経営しており、七戸町の実家を事務所とし妹をアルバイトとして雇用していた。2020年2月頃から被告は、被害者の勤務する会社と重機販売代金の支払いや重機の持ち出しなどでトラブルになっており、被害者が何度も被告に対して重機の返却を催促している状況にあった。

2020年12月23日

 被告の話では(おおよそ、こんな感じと思われます)、被害者が除雪機を借りたいとのことだったので、被告の実家の除雪機を勝手に積んで持って行ってかまわない旨伝えた。23日朝、被害者が来て一人で除雪機の積み込みをしていた。被告が気づくと被害者は除雪機の下敷きになっていた。実家事務所にいた妹に声を掛け、119番通報を指示した。当日の時間と状況は下記のとおり。

 9:25 妹が実家事務所に出勤 

     被告が騒いでいるので現場へ行くと被害者が除雪機の下敷きになっていた。

9:31 消防署へ119番通報(妹)

    現場近所の消防署員到着

    被害者の脈などを確認し救急車の誘導へ(脈は無く、心肺停止状態)

9:40頃 救急車到着 

10:06ドクターヘリで搬送

10:21 八戸市民病院着

息は吹き返したが、低酸素状態に長く置かれたため脳に障害、1月8日低酸素脳症により死亡

事故現場の状況

 除雪車の操作版側に下半身を出す形で上半身が除雪機の下敷きになっていた。下敷きになっていた状況から、被害者がうつ伏せに倒れた状態で除雪機が頭から乗り上げて止まった状態と考えられる。

119番通報後最初に現場に駆け付けた近所の消防署員の証言で、除雪機の下敷きになっている人の名前を聞いて驚いたとあり、驚いた理由として12/21に発生し出動した事務所火災に勤務する人であったことを理由としている。また、その事務所火災現場には、近所でもないのに被告が来ていたことも証言していた。

被害者が被告の実家に来た理由として被告は、被害者の実家の除雪をするために除雪機を借りに来たとしている。これに対して、被害者の兄は、実家に住む自分(兄)がトラクターを使って実家の除雪をしている。また弟(被害者)もたまに実家の除雪をするが同様にトラクターを使って除雪するため、除雪機を借りる必要はなく、これまで一度も借りたことはないとした。また、被害者長男は、自宅の除雪でも除雪機を借りる必要ないとし、事故が被害者の勤務時間中におきていることから勤務時間中に私用で除雪機を借りに行くことは考えられないとしている。

同除雪機を使った人形への乗揚げ実験

 警察では、被害者と同じ体重に調整した人形を使い、同じ除雪機を後進させて人形に乗り上げるかどうかの試験を何度も行っていた。結果からみると乗り上げる場合と乗り上げない場合があり、この実験結果が今後どのように容疑等に結びつくのかややわかりにくい部分であった。また、1回目の実験は雪上で行ったが、2回目以降は雪上面に類似した状態としてブルーシートの上で実験しているが、雪上面よりブルーシートの方が滑りやすいような気がするが、その辺の検証も必要ではないかと感じた。雪の状態にもよりますし・・。

傍聴して気になったこと

 これまでの試験(ブレーキホースの強度試験など)でも感じたのだが、何を目的(何を証明するため)に行った実験なのかを明らかにせずに試験内容と試験結果を述べるだけなので、実験の意味するところが分かりにくい部分が多いと感じた。

 また、今回の事件の遺族の証言で、『当初除雪機による事故死で処理され事故だと考えていた、その後、被告が放火で逮捕されたのを知りこの事故も怪しいと感じて警察に相談した』とあった。当初、軽トラック転落も事故で処理(第3回公判参照)され、この除雪機の件も事故で処理されたとのことであるが、これが事実であるならば、やはり警察の最初の動きだしの時点で問題があったのではないかと感じてしまう。

 除雪機の横に70cmぐらいのバールがあったが、バールに関する説明がなかった気がする。今後関係してくるのか?