第5回公判 2024/2/26(月)10:00~ 青森地方裁判所 第1法廷
傍聴人数25名(うち記者席8名)
第4回公判に続き除雪機殺人事件に関する検察側の証人尋問
除雪機安全協議会代表理事で除雪機の事故検証や製品開発に長年携わった人が証人として呼ばれ、今回の除雪機死亡事故?について見解を述べた。
・現場写真を見るとクローラ(キャタピラ)の後方(操作盤側)にクローラが空転して雪を掻いて盛り上げた山があることから、事故時除雪機は前進していた。
・うつ伏せの被害者の上半身に除雪機が乗揚げ、操作盤側に下半身が出ている状態で発見されているが、ズボンにクローラ(キャタピラ)痕があることから、足から惹かれて上半身まで乗揚げてスタックしたように見える。
・オーガが硬い異物を巻き込んだ時に機械本体の損傷を防ぐためのシャーボルトが破損しオーガは空回りする状態になっている。また、被害者の上着にはオーガ(回転部)によると思われる損傷があることから、除雪機前方のオーガに上着がからみ、シャーボルトが破損したと考えられる。
現場の状況からいくつかの疑問点が提示された。
・シャーボルトの破片は除雪機の左後方から発見されたが、オーガはオーガカバーで横、背面、上面が覆われているためにシャーボルトの破片はオーガの前方にしか飛ばないはずである。シャーボルトの見つかった位置から考えると、シャーボルトが破損したときの除雪機の進行方向は別を向いていたと考えられる
・被害者が前進中の除雪機の前に行った理由が想像できない
・発見時、被害者の両手が両体側に沿って足方向に延びた状態であったが、うつ伏せで足から乗り上げられた場合に手の位置がこの状態になるか疑問
・被害者の頭頂部に傷があるが、除雪機が乗揚げた場合に頭頂部にケガをする理由が見当たらない。
被告人尋問
弁護側が被告に転落事故、除雪機事故に関する状況を聞き取った。
以下概要
事故当時(2020年)被告は重機の買取りと販売を行う北青大橋貿易合同会社を経営し妹を事務員として雇っていた。2020年春(2~3月頃)には重機販売していた齊下産業が廃業するために手持ちの重機約10台の販売を相談された被告は、別の会社への販売を仲介して重機を引き渡し、代金約1000万円を受け取ったがその代金を齊下産業に支払わず、自分の会社経営に使ってしまった。
また、齊下産業では別の会社とホイールローダーの販売契約を結んでいたが、被告はホイールローダーの車体番号が削り取られていることを指摘し、車体番号の修理?を請け負いホイールローダーを修理のために移動することにして、別の会社に横流ししてしまい、代金は自社の経営に使ってしまった。
その後、代金支払いとホイールローダーの引き渡しについて、被害者から何度も要求されるが、ウソをついてごまかし、代金支払いとホイールローダー引き渡しを行わなかった。実際被告は代金支払いもホールローダー返却もできる状態にはなく、9月23日に全て真実を話して謝ることに決めて、二人きりになるために車で八戸漁港へ行くことにした。被害者を呼び出すために、ホイールローダーの引き渡しとウソをつき、手伝いと称して友人と妹も同行させた。軽トラックは被告が運転し被害者も同乗、プリウスは友人が運転し妹が同乗し、八戸漁港へ向かった。車中で二人きりになれたが被害者に怒られるのが怖くなり謝罪できなかった。八戸漁港に着き、その後コンビニで妹に財布と携帯電話を渡し4人分のコーヒーを購入した。仕事関係の電話が掛かってくる予定であり、運転中は電話に出られないため、電話と財布は妹に預け電話が来た場合の対応を頼んだ。その後、館鼻岸壁を見て漁港へ戻る途中で軽トラックのブレーキの効きが悪いと感じて車を停車して確認したが、状況は解らなかった。八戸漁港岸壁に戻り、プリウスの隣に駐車しようとしたが停止できずに係船柱に前面を追突した。ブレーキの効きを確認するために、軽トラックに被害者を同乗させたまま、漁港内そして公道を試運転した後、漁港に戻りプリウスの隣に停車しようとしたが止まりきれずに漁港岸壁から海に転落した。翌日(9/24)、転落した軽トラックを引き上げて警察の調べで後輪のブレーキホースが切れていることが分かったが、なぜ切れたか心当たりはない。被害者家族には、八戸漁港へ一緒に行った理由を被害者からタコを購入したいと言われて行ったとウソをついた。その後も被害者には謝罪できずウソをついてごまかし続けていた。
12月23日の除雪機事故で被害者が死亡した前日の22日、被告は被害者から電話で呼び出され齊下産業事務所に行ったところ、事務所が火事になっていた(火災現場で被告は消防士らに目撃されている)。その後?被害者から被害者実家の除雪のために除雪機を貸してほしいと言われて、了承した。当初、被告実家の除雪機を被告の軽トラックに載せておき、被害者が自分で持っていくことにしていたが、23日になり被告は貸出時に除雪機の操作方法を教えるために立ち会い、併せて被害者の除雪も手伝うことに考えを変え、被害者を待った。被害者が被告実家に来て除雪機の操作を教えた後、被害者は用事あると言って自分の軽トラックで一度出かけた。
(ここで所用のため退出してしまいました。この後の状況については、2/27第6回公判の検察による被告尋問とほぼ同様かと思いますのでそちらを参照してください)